絵空事の切れ端

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帰ってきてマイメモリー

 キャッシュカードの暗証番号を忘れた。


 字に起こすと一層間抜けだと思い知る出来事だった……。久々の更新がこんなしょうもないことなんですが、なんか自分でもある意味衝撃的なことだったんで戒めとしても書いておこうと思いました。


 それは先日のよく晴れた土曜のことです。
 その日は毎度参加してるやきとんオフの日で、それまでの時間暇だったおれはサモンナイト5を買うかどうか迷いながら早めに家を出て、どこかで適当に読書でもして時間を潰そうと思っていました。新宿に着いてから「今月の電撃文庫まだ買ってねえ」と気がついたのでアニメイトに寄りました。新刊コーナーをざっと周り、文庫3冊と漫画1冊をレジに通してお会計。カバンの大きさの関係でホントはもっと少なくしたかったんだけど、物欲が上回り思ったよりも出費になってしまいました。
 やきとんの参加費と帰りの電車賃はあるものの、手持ちが心もとなかったので本当に軽い気持ちで「お金下ろそう」と思って靖国通りのセブン銀行に寄りました。ATMが5台並んだ空間は人気も少ないこともあってすぐに利用することができました。キャッシュカードを挿入して『お引出し』をタッチ――ここまでは暗証番号を憶えていたはずでした。少なくともそう自分では思っていました。
 ここでおれは一度操作を誤ってしまい、自分でも「いっけね☆」とテヘペロのごとく舌を出しながらそれでも余裕綽々の体を崩さず、手早く『中止』を押してやり直しを図ろうとしました。一度吐き出されたキャッシュカードを再度挿入して『お引出し』をタッチ、さて暗証番号を入力するかと思ったそのときです。


 暗 証 番 号 な ん だ っ た っ け


 正直自分でも意味がわかりませんでした。
 一度『中止』を押したくらいでたった半月に1回は絶対に入力する上に、もはやテンキー見なくても指の動きだけでいけると思っていた4ケタの暗証番号をこの一瞬で忘れるって若年性アルツハイマーを疑うくらいやばいと思いました。思考まで『中止』してどうするんだ。使う数字はわかっているのに結局その順番がどうしても思い出せません。


「このはず!」ピピーッピピーッ「こうだっけ?」ピピーッピピーッ「こうだったかな?」ピピーッピピーッ「……これか?」ピピーッピピーッ「…………」ピピーッピピーッ


 そこにはATMに向かってキャッシュカードを10分にわたって何度も抜き差しするひとりの男がいました。端から見れば意味深で理解不能な特殊プレイに浸っているような怪しいそれは紛れもなくおれでした。『上記の参照番号を控えて銀行窓口に来てね(要約)』と記載された一銭の価値も持たない明細票と無慈悲な電子音が失敗するたびに吐き出され、おれは少しの間自分を見失っていました。
 とりあえずお腹も空いたし一旦落ち着こうと近くの松屋牛めし(大盛)を頼んでクールダウンすることにしました。待ってる間も食ってる間もずっと暗証番号を思い出すことに必死でした。記憶を辿ってどうにか「これで絶対合ってるはず」という暗証番号を導き出しました。同じ場所で試しました。ダメでした。


 どうやら暗証番号を間違えまくったせいで止められた可能性があります。そうなりたくてなったわけじゃないのに(当たり前だけど)、なんかすごく微妙な気分になりました。まあその後のやきとんは楽しかったですけど。
 で今日も試してみたんですけどやっぱり引き出せませんでした。どうやら本格的に窓口に相談しに行かないとダメみたいです。もしかしたら「これで絶対合ってるはず」と思っている暗証番号も勘違いしているだけかもしれないけど、本当に自分のアホさが際立った出来事だったと思いました……。なんで忘れてしまったん……。
 これでカード再発行とかなったらそれまで素寒貧で過ごさなきゃいけないと思うととても惨めになりそうです。実家ぐらしなんで親を頼ればいいんですけどあまりにもアホすぎてあんまり相談したくねえ……。