絵空事の切れ端

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おかえりルイズ。おかえり才人。(ゼロの使い魔21 六千年の真実感想)

 実に5年ぶりの刊行となったゼロの使い魔

 2013年にヤマグチノボル先生が逝去され、絶筆となったこの作品の続刊がまた読めるとは思いませんでした。ゼロの使い魔は自分が高校生のときから読んでいた作品のひとつで、個人的にも思い入れの強い王道ファンタジーです。本当に復活して嬉しかった。

 代筆の作家さんの名前は伏せられていますが、中身はとても『いつも通り』でした。刊行してくれてありがとう。

 

ゼロの使い魔 (21) 六千年の真実 (MF文庫J)

 

 

 ティファニアもろともエルフに拉致されていた才人。しかし里のやり方が気に食わないエルフの協力を得て脱出を果たし、追手を撒きつつルイズたちのもとへと急ぐ。一方コルベール先生率いる才人救出チームに同行したルイズは、虚無の力でエルフの里に殴りこむ。しかし力を酷使して精神力が尽きたルイズのピンチに、才人の体に宿った“リーヴスラシル”のルーンが発動する。

 敵も味方もほぼオールキャストで贈る渾身の山場でした。ホントに懐かしくて同窓会に混じっている気分にさえなりました。あー、これがゼロの使い魔だなあって。

 

 このシリーズはもう何度目になるかわからないくらいルイズと才人が何らかのすれ違いや行き違いで離れ離れになっては再会を繰り返しているのですが、今回は現実の時間的な意味でも(才人とテファが拉致されたのが19巻)離れ離れになっていた時期が断然長かったのでこの再会はかなりアガりました。才人の窮地に颯爽と現れたルイズにもはやかつての『ゼロのルイズ』の姿はなく、ヒロインとしても格の違いを見せつける強さがありました。このシーンの挿絵を見たとき、本当にルイズが帰ってきたことを実感しましたね……。宿敵ワルドとの共闘を経てからのこれだったので、もういろいろと感無量でした。

 そして再会したらしたですぐさまイチャつき始める二人には、こう、なんといいますかクラスメイトに「お前アイツとデキてるだろ~~~?」とからかいたくなるような気持ちになりますね。実際もう付き合っていると言ってもいいので末永く爆発してください。こうしてみると才人も立派な男の子になったもんだなあ。

 というか、こういうノボル式ラブコメの様式美も含めてほとんど完璧に近い続刊なんですよね。読んでるとき何度も「これだよこれ」と思うシーンがありました。

 

 エルフと一時の和解を果たし、聖地にてまた新たな真実が。ハルキゲニアと地球を結ぶ謎とは。そして二つのルーンを宿した才人の運命と選択はどうなるのか。次巻でついにシリーズも完結です。中身についてはもう何の心配もしてません。いつまでも待てるし、待ち続けたいです。そうしたらまた心からありがとうと言わせてください。