止まらないダイスキの大暴走(安達としまむら7巻感想)
「ウツロイドの厳選が終わらなさすぎてだんだん面倒になってきた。なんか気分転換しよう!」というしょうもない理由で久しぶりにラノベの感想を書きます。絵空です。
というわけで今回の更新は先日新刊を読んだ『安達としまむら』7巻です。
ダイスキが止まらない安達の大暴走と大迷走。今回は今まで以上にキていました。いよいよただの百合小説じゃ終わらなくなってきた。
晴れて「お付き合い」することとなった安達としまむら。ふたりの関係が少しだけ変わり、その距離感もずっと近づく。しかし浮かれに浮かれる安達に対し、しまむらは相変わらずの通常運転。「付き合う」ことで生まれた変化は、微々たるもの? それとも――。
安達……お、おま、お前なーーーーーーーー!!
と叫びだしそうになるくらいに今回の安達は見ていられませんでした。今までさんざん恥と失態を晒してきたにもかかわらず、まだ上があるのか……と戦慄してしまいました。ちかごろ共感性羞恥という言葉をよく耳にします。自分はこれに共感したことはないのですが、今回ばかりはもしかしてこういう気持ちなのかな……って思いましたね。
『恋人』という特別なポジションを獲得し、あからさまに欲求を隠さなくなった安達……男子中学生か!? 行動すべてが男子中学生なのか!!? しまむらもしまむらで軽はずみな行動(デコチュー)で調子に乗らせるもんだから、本当に手がつけられない状態になっていて、それは発情期の犬みたいでした。その上相手のことを一番に考えているようで、鬼のような独占欲を発揮し始めるのでもはや笑いが止まりません。これで朝のおはようから夜のおやすみまで相手のことを知りつくしていないと気が済まないタイプなんだから、『好き』という気持ちがどれだけ人に行動力を与えるのかがわかるって話ですよね。
うん……。やばい、こいつ面倒臭すぎる。こりゃ絶対またヒスる展開あるよ……ワクワクするじゃん。
一方のしまむらは相変わらず。人間関係に極めてドライだった彼女がなぜ『恋人』という変化を望んだのか、本心がいまいちわからない。しかし今までのしまむらの人間性を鑑みると、変化を求めた時点で彼女の中にも確実に変化は起きているのだと思います。ただ付き合った理由が「なんとなく」って言われても、そうなんだろうなって思うくらいしまむらがしまむらだから如何ともしがたいところ。
安達の期待やリクエストには『恋人』としてひとつひとつ応えているものの、いつその熱が冷めると思うとハラハラする。というかしまむらの価値観を覗くたびに、やっぱりこの恋愛は長く続かなそうだなという予感がひしひしします。この薄皮をペリペリ剥がしていくような緊張感と焦燥感、正直たまりません。大好物です。
やっぱりこの作品の面白さは、こういった価値観や恋愛観の温度差から生まれる距離感だと改めて感じましたね。なんだかんだで安達にもしまむらにもかわいいところがあって憎めないし、ドラマ性ある部分ばかり語りましたがほんわかする場面もたくさんあったし。
いやーホントこの世の数いる百合スキーには是非履修してほしいです。1巻1時間弱で読めるし、この機会に童貞系女子安達を堪能してくれ。頼む、このとおりだ。