珠玉の『和み』がここにある(宝石吐きのおんなのこ感想)
今年の目標のひとつとして本の感想を少しでも残したいので、まずはリハビリ程度にこれからポツポツ上げていこうかなと思っています。ほとんど毎日更新してたラノベブロガーだった時期は随分と前のことになってしまいましたが、基本に立ち返って気軽に書いてみます。
というわけで記念すべきひとつ目は最近ハマった『宝石吐きのおんなのこ』です。
この物語はタイトル通り体内から宝石を吐き出す体質を持った女の子・クリューと、過去に彼女を救った経緯で保護者代わりとなったスプートニクの擬似親子(兄妹)であるふたりが、町外れにある宝石店を経営しながら穏やかで賑やかな日常を過ごす、というものです。ちょっぴりトラブルに見舞われることもありますが、事件という事件は起きません。少なくとも2巻までは平和そのものでした。
この作品最大の目玉にして最大の武器――それは主人公のクリューのかわいさに尽きます。これがほんっっっと~~~~~~~~~~~にかわいい! 『目に入れても痛くない』という表現がまさにそれです。イラスト担当の景さんのキャラデザが素晴らしいっていうのも勿論あるんですが、中身も年相応によく笑いよく泣きよく怒りと感情豊かであり、きちっと責任感をもってお仕事に取り組んでいるところもあって色んな顔を見ることができます。それに加えてクリューは自分を救い出してくれたスプートニクに淡い恋心を抱いていて、少しでも彼の信頼に応えたくて大人ぶってみたり、夜の街に度々消える彼にやきもちを焼く姿は微笑ましい限り。いやーやっぱ年の差恋愛はこうでないとねえ。
対するスプートニクも表面上はクリューを子ども扱いしたり、からかって遊んだりもするけど、彼女がいないところでは「俺はあいつのために死ねるんだ」とかナチュラルに言っちゃったりするから油断がならない。親バカ視点という意味では実はデレデレなのかもしれません。
そんなふたりが中心となって展開されるお話は、起伏が少ないものの温かさに満ちている。特異体質に生まれてしまったクリューが、人間として当たり前の幸せに触れていくことで成長する姿を見守るのがこんなにも楽しいとは思わなかった。思わぬ言葉や行動に翻弄されながらも少しずつ距離を縮めていく関係性が本当に和む。それくらいずっと眺めていたい光景でした。読了時に『和む』というワードが真っ先に浮かんできたので言い切りましたが、あながち間違ってはいないと思います。
このふたり以外にもソアランとイラージャという上司と部下の関係である魔法使いがいるのですが、こっちの関係性もかなり難儀なものになっていておもしろいことになっています。イラージャが報われる日はくるのだろうか……。
来月には3巻も出るのでいよいよクリューの体質について本格的に触れていくのだろうか。物語的には彼女の体質を治すことが最終目標っぽいので、是非最後まで書籍化してほしいなと思います。