平成最後(2018年)のラノベまとめ
あと26時間ほどで2018年が終わりますがいかがお過ごしでしょうか、絵空です。
毎年毎年言ってるけど一年経つのが早すぎる。これで30越えたら体感スピードが更に上がるってまじ? もうすぐ死ぬじゃんね。
そんなこんなで今年もラノベ10選やります! そのうち6つが今年の新作です。これ読んどけば間違いないからのいつものスタンスでやっていきますので、暇を持て余した年末年始のお供にご参考くだされば幸いです。よろしければお付き合いください。
○錆喰いビスコ (NEW)
- 作者: 瘤久保慎司,mocha
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2018/04/09
- メディア: Kindle版
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このラノ2019にて総合&新作1位を獲った傑物。
かくいう自分も1位に投票したがまさかりゅうおうを押さえてトップに躍り出るほどとは思わなかった。夏の好きラノの記事でも書いたけど、とにかく登場人物が気持ちいい。誰も彼もがこの錆ついた世界で必死に生き抜いており、執念とさえ言えるような無鉄砲さで目的に突き進んでいく。そんな熱量に溢れた、男二人の冒険活劇である。
2巻ではめちゃくちゃ強いジジイが出てくるので、そういうのが好きな人には是非オススメ。
○七つの魔剣が支配する (NEW)
剣と魔法の技術を各々の「杖剣」に詰め込み研鑽を積んでゆく名門校に、魔法はズブの素人だが剣技は誰にも引けを取らないサムライ少女が入学してくるという学園ファンタジー。例えるなら『血なまぐさいハリー・ポッター』。
結論から言えばこれからの展開がすごく楽しみな一作になりました。話づくりが丁寧なのはアルデラミンから分かっていたことですが、キャラクターの見せ方がとにかく上手い。それぞれのキャラ性が物語の役割をきちんと果たしていて、頭にスッと入ってきたのが記憶に新しい。まだ隠し玉が色々ありそうなのも、楽しみの一因となってます。
懐かしき学園ファンタジーが好きな人にオススメ!
○彼女のL (NEW)
嘘を見抜ける能力を持つ主人公と、決して嘘をつかない優等生と、常に嘘だらけな学校のアイドルによる良質な学園ミステリ。
物語は優等生とアイドルの共通の友人が亡くなるところから動き出し、その真相が思ってもみないものかつ壮絶に悲しい話だったのが印象に残ってます。嘘をつくことを絶対悪だと思っている主人公が、その事件を経て人を守るための嘘もあることを知っていく心境の変化もよく描けていたと思う。
話がおもしろいのもあるけど、最後までミステリーとしてもドキドキできたのオススメです。
○ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 (NEW)
ひげを剃る。そして女子高生を拾う。【電子特別版】 (角川スニーカー文庫)
- 作者: しめさば,ぶーた
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2018/03/01
- メディア: Kindle版
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26歳会社員の吉田が、家出中のJKである沙優を酒の勢いで泊めてしまったことから始まる奇妙な同居生活。
夏の好きラノで推されていたので読んだら見事にハマってしまった。「家に帰れば女子高生が待っている」というある種のファンタジーではあるが、ヒロインの沙優まわりは割とリアリティがあり、特に想いを寄せていた上司に同居がバレたときの落としどころとかうまく回避したなあと思わされた。倫理観が擦り切れ宿の対価として当然のように身体を差し出してきた沙優が、人の温もりに触れて当たり前の幸せを実感していく過程が良かった。また吉田と沙優の距離感が絶妙で、一線を越えないままお互いに欠けたものゆっくりと埋めていくような関係性が心地いい。あと単純にぶーたさんの絵が好き。
処女厨は絶対に読んでて苦痛だと思うけどむしろウェルカムだよって人にはオススメ。
○三角の距離は限りないゼロ (NEW)
春珂と秋玻。一つの体にふたつの心。そんな彼女たちとの恋のお話。
設定がおいしいのもそうなんですが、恋愛における清濁の感情を余すことなく描いており、ラブコメとしての完成度も高い。特に2巻がとても良くて、秋玻への恋を応援していた春珂が自らを偽るのをやめたきっかけとなるサブキャラの恋模様が個人的に非常に好きだった。誰の目から見ても付き合えばお似合いのカップルになるはずなのに、そうはならなかった理由に「なるほどなあ」と思わされてしまった。その出来事が春珂を突き動かしたのがエモい。
それと某失恋探偵や某小説のヒロインなど、作者の著作をずっと追っている人にとってもおいしいシリーズだった。
○《このラブコメがすごい!!》堂々の第三位! (NEW)
ラノベ系まとめサイト管理人の主人公と、作家志望の少女のラブコメ。
面白さは売上に必ずしも直結しないというシビアなマーケティグ論が繰り広げられ、読者としては複雑な気持ちになりましたがその設定がラブコメに活かされてしまったので悔しくなった。面白いじゃんかよちくしょう!
読み切りとしてもキレイなので、ラブコメ好きにはオススメ。
○86 -エイティシックス- (2)
86―エイティシックス―Ep.5 ―死よ、驕るなかれ― (電撃文庫)
- 作者: 安里アサト
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2018/11/09
- メディア: Kindle版
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去年に引き続きピックアップ。非常におもしろいし毎度毎度読み応えがすごい。
最新刊が特にツボで、連合王国の技術に『シリン』という死者の脳を演算処理に使用する機械人形が出てくるのですが、その『シリン』の一人であるレルヒェとヴィーカの決して結ばれることのできない主従関係が好みだった。この作品は人倫や道徳をぶっ壊す設定がたびたび出てくるので、人間と人間でないものの境界が揺らぎがちになるのですが、ここまでエグいのを出してくるとは思いませんでした。共和国の有人の無人機として人間扱いされてこなかった『エイティシックス』へ「生きているくせに」と皮肉の声をぶつけられるのは恐らく彼女だけだろうなとゾッとしました。そのシーンを見事な挿絵にしてくれたしらびさんにも賛辞を送りたい。
本当の化物は死者の脳をリサイクルされた使い捨て兵器の『シリン』か、はたまたそれを作り出した人間か。物語もテーマもどんどん重くなっていって続きが楽しみです。
○月とライカと吸血姫 (2)
月とライカと吸血姫4 【吸血鬼ヒロインコラボ記念!イラスト付き特別版】 (ガガガ文庫)
- 作者: 牧野圭祐
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2018/09/28
- メディア: Kindle版
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こちらも去年に引き続きピックアップ。本当にドラマチックな作品だと思う。
パイロットサイドのレフとイリナ、技術者サイドのバートとカイエ。国は違えど願いは同じである両主人公がついに邂逅する。政治的な陰謀が渦巻く緊張感の中で、同じ夢を語る彼らが眩しかった。その願いが根幹にあるからこそ、彼らの行動力も本物なんですよね。
それにしてもバートにすごく積極的なカイエがかわいい……かわいくない?
○りゅうおうのおしごと! (4)
自分に正直なので今年も入ってる。相変わらずおもしろい。
特に9巻は天ちゃんメインの話だったし、VS姉弟子という同門対決は胸が熱くならずにはいられなかった。幼くも様々なものを背負ってきた天ちゃんが八一の将棋を見て自分を取り戻し姉弟子に一矢報いるところはとてもよかったし、家族の話は目頭が熱くなった。いい意味で憑き物が落ちた天ちゃんが八一争奪戦に本格参戦し、あいちゃんはどうなるのか。
そして魔境と呼ばれる三段リーグへ身を投じる姉弟子はどうなってしまうのか、これからも楽しみです。
○東京レイヴンズ (3)
東京レイヴンズ16 [RE]incarnation (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: あざの耕平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 富士見書房
- 発売日: 2018/11/20
- メディア: Kindle版
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今年一番おもしろかったラノベを挙げるなら、やはりこれ。正直震えた。
「お待ちしています。幾瀬、幾歳の彼方で」
久しぶりの続刊だったけど、16巻にしてまだこんな大掛かりな仕掛けがあったのかと驚き。土御門夜光と飛車丸の過去編による総括であったが、そのまま現代へと続く飛車丸の想いの強さに感動とロマンが詰め込まれていた。そして春虎と夏目につながるわけですね。息をするのも忘れそうになる怒涛の展開でした。長いシリーズなので読むの止まっている人もいると思うんですけど、読んだほうがいいよ!と強く勧められるくらいにはまさしく愛の物語であった。
というわけで今年はこんなラインナップになりましたがいかがでしたでしょうか。
今年はVtuber沼にハマってしまったおかげで読書量が10ウン年ぶりくらいに100冊を割ってしまうという不甲斐ない結果でした……。主におもしろいと話題になった作品から読んでしまうので自分から開拓することは全然なくなってしまったのが衰えを感じるところ。これなんか毎年言ってんな……。
余談ですがそんなモチベの中で『本好きの下剋上』をようやく読み始めたんですが、勢いよくドハマりました。まだ二部の途中ですが純粋に本を読むことの楽しさを思い出させてくれるような作品に出会ったのは久しぶりでしたね。隙がないおもしろさだった。勧めてくれた人たちホントありがとう。
こんなスタンスですが、来年もおもしろい本との出会いが楽しみです。
また今年も例のごとくこのラノにライター参加しました。『弱キャラ友崎くん』を筆頭にいくつか書かせていただいたのでよろしければご確認ください。