2016年ラノベまとめ
明日からクリスマス、そしてはやくも年の瀬となりましたがいかがお過ごしでしょうか。絵空です。
あと一週間で2016年終わり!!?っていう感慨もへったくれもない感じなんですが、まとめ記事を書いていると、こう、一年の終わりをひしひしと感じます。あっという間だった。
そんなこんなで今年も一年を振り返るという意味で、個人的に特におもしろかったタイトルを10個選んできました。だいたい「これ読んどけば間違いないから!!」といういつものスタイルです。
それでは興味がありましたら続きからどうぞ。
知らない『言葉』を通じて心を通わせていく、平凡な女子大生の雫と穏やかな魔法士のエリクによるロードファンタジー。古き良きジュブナイルポルノ的な空気がたまらなく好き。
『言葉』にどこまでも真摯な作品で、何気ない掛け合いや地の文にもその片鱗が窺えて実に丁寧な作りだと思った。地球と異世界では当たり前のように言語や文明が異なるのに、なぜか会話は通じる理由が単純に見えてこれまでにない切り口だったのも驚きだった。その驚きが物語のおもしろさにも直結していて続きがすごく楽しみ。エリクが雫から日本語を教わっている姿を永遠眺めていたい。
去年から引き続きピックアップ。ついに恋人という特別なポジションを獲得した安達のありのままの姿を御覧ください……いや、本当に恥ずかしくて見てらんない!
最初は「ゆ◯ゆ◯」的なゆるい物語だったはずなのに、来るところまで来てしまった感じがする。このいびつな恋愛関係がどういった着地点を見せるかも、純粋に興味がある。まーただでは終わらないのが入間作品なので、どんなどんでん返しが来ようが完結まで付き合うつもりです。負けるな安達。
さよなら、サイキック 1.恋と重力のロンド (角川スニーカー文庫)
- 作者: 清野静,あすぱら
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2016/08/31
- メディア: 文庫
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あの「時載りリンネ!」から早7年、清野静先生の待望の新作は恋と超能力の青春物語。リンネもそうだったけどこの人は天真爛漫な女の子を筆頭に、溌剌な少年少女を生き生きと描くのが途轍もなくうまいと思う。息吹を感じるとはこのこと。そして恋をすることで超能力が弱くなるという設定も大好物。これからの三角関係にどう作用していくのか楽しみです。ロンドと軍乃のダブルヒロインがどちらも魅力的なキャラだけに、どちらかがフラれる展開を考えると負けヒロイン好きとしてはかなりアガります。そういう性分なんです。
ただならぬおもしろさだとは思っていたけど、まさか今年のこのラノで1位を獲るほどだとは思わなかった(自分も投票したが)。去年のまとめ記事ではロリ部分を推して勧めたけど、だいぶ間違いだった。
本当にこのシリーズはおもしろさも熱量も完成度も頭一つ抜きん出ている。特に3巻の桂香さんの話は大人ほど胸に突き刺さるもので、ライトノベルで久しぶりに泣かされてしまった。本気でぶつかり合えばこそ伝わる想いや感情が、将棋という勝負の世界で鮮烈に描かれていて魅了される。
2016年一番おもしろかったタイトルを挙げるとすれば、間違いなくこの作品です。雛鶴あいちゃんも同じくベストヒロインです。小学生はやっぱり最高です。
空の青さを知らない世界。分厚い雲を払うことができる唯一の存在『ヘクセ』を担うカリムと揺月。幼馴染みのふたりが交わしたいつかの約束と、すれ違う青春模様を描いたもの。
展開的には王道だけど、この淡い世界観が独特で没入感が半端じゃなかった。まだまだ設定は多そうだけれど、この青春劇を全面に押し出すために意図的に抑えめにしているのではと思った。そのすれ違いの理由がまた単純なんだけど、気難しい乙女心であったり、間が悪かったり、周囲の環境や空気であったりと、なかなか和解のタイミングって難しいよね。リアルでもそうだもの。けれどそんなもやもやを吹き飛ばす青空が印象的だった。そんな絶景を男女で見ようもんならさ、もう恋ですよそれは。
とにかく作品の空気がとても好みだった。是非オススメ!
宝石吐きのおんなのこ(5) ~ちいさな宝石店といつわりの魔法使い~ (ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ)
- 作者: なみあと,景
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2016/10/17
- メディア: 文庫
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宝石を吐き出す体質を持った少女・クリューと、口は悪いが根はやさしい青年・スプートニクのふたりが穏やかな街の片隅で宝石店を営む、心温まる物語。
何度も何度も言うけれども、ヒロインのクリューが目に入れても痛くないかわいさを惜しげなく披露する姿は、読んでいて和むことこの上ない。喜怒哀楽の表情はコロコロ変わるし、背伸びしたいお年頃だから余計にね……。また特異な体質のせいで過去にトラウマを抱えるクリューが、宝石店での出会いを通じて当たり前のやさしさや温もりに触れて、人間らしさ或いは年相応の子供らしさを取り戻していくのも良い。サクサク読みやすいのもお手軽で好印象。
青春ブタ野郎はハツコイ少女の夢を見ない<青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない> (電撃文庫)
- 作者: 鴨志田一
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2016/12/10
- メディア: Kindle版
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3年連続でピックアップされるこのシリーズも、そろそろ自分の中で殿堂入りに近い存在になってきました。今これを越えられるラブコメはそうそうないと思います。それくらい大好きだし、ヒロインひとりひとりが愛おしい。
満を持して咲太の初恋の相手である翔子のエピソードでしたが、メッセージ性が一際高かった。究極の選択を強いられた中、どちらも選ぼうとした咲太がこれでもかと足掻いてもどうにもならなくて、それでも諦めなかった姿勢に感動した。彼のその原動力の源は、それを許してくれる存在であり、背中を推してくれる存在であり、そして帰りを待つ存在がいたからなんだと思います。咲太、お前はよく頑張ったよ。
これで完結でもよかったくらい綺麗に終わりましたが、これで第一部……だと……? まだ新展開があるらしくて、これからどうなるのか楽しみです。ゴールインでもするのか?
ソードアート・オンライン (18) アリシゼーション・ラスティング (電撃文庫)
- 作者: 川原礫,abec
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2016/08/10
- メディア: 文庫
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長かったアリシゼーション編完結ということで。ようやくキリトも完全復活し、臨んだラストバトルのスケールの大きさと来たら。夜空の剣の記憶開放術を使ったところは、やっぱりユージオを思い出したので少し泣きそうになりました。アンダーワールドでの戦いも盛り上がったけれど、人工フラクトライトから生まれたアリスがリアルでどのような立ち位置になるのかも興味が湧いた。
次回からは完全書き下ろしストーリーらしいのでまだまだ続くでしょう。というかオルタナティブまで含めると、いくらでも続けられるお化けコンテンツだよなあと改めて思った。
いつか世界を救うために2 クオリディア・コード<いつか世界を救うために クオリディア・コード> (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 橘公司(Speakeasy)
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 富士見書房
- 発売日: 2016/02/20
- メディア: Kindle版
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クオリディア・コードシリーズの神奈川編。紫乃宮晶=凛堂ほたるの図には「どええええええ」ってなりましたがピースがひとつひとつハマっていくような伏線回収は思わず舌を巻かされるくらいで、さすがの橘公司クオリティだと思いました。
度を過ぎたストーカーが変態力を発揮し、まんまと踊らされるヒロイン……の構図だったはずがどうしてこうなった。なんなんだこのヤバいくらいの相思相愛の百合は……。いやー、とても楽しい読書でした。ヒメもかわいかったしね。
スクールカースト最底辺だがゲームの腕では誰にも劣らない友崎。リアルを充実させることを諦めきっていた彼は、ゲームを通じて話すようになったクラスメイトかつ学校一の美少女でもある日南葵から失望されるも、彼女の指南付きで『人生』というゲームを本気で攻略していくことに。
メインヒロインの葵は友崎にはまったく靡きませんが、秘密を共有するというシチューエーションが好みだし、彼女の言うコミュニケーションのいろはや、身なりの見せ方なども知識としては結構役に立つものだったのが印象的。『脱オタハウツー本』という評判は聞いてはいたけど読むまで「ウッソだろお前」って思ってましたが、間違ったことは書いていないと思いました。
友崎もそこまで捻くれてないし、努力できるタイプの主人公なので純粋に応援したくなった。物語としての完成度も高く、リア充と非リアの差をうまくキャラクターや設定に落とし込んでいて読み応えも十分。ヒロインをプロデュースする物語はいくつか思いつきますが、主人公がヒロインにプロデュースされるっていうのは結構珍しいパターンだった。そういう物珍しさもうまくハマって、こんなおもしろさができたのかなと思います。
こんな感じでいかがでしょうか。今年は例年より少し多めに本を読めたとは思うのですが、なぜかタイトルを選ぶのはあまり苦労しませんでしたね。新人賞作品はなろう系に圧されて全然ヒットしないとか、続きが出る出る詐欺に見舞われた作品もちらほらあったりと暗い話題を耳にしますが、来年もおもしろい本にたくさん出会えればいいなと思ってます。好きになったものはどんどん言っていくぞ。
ちなみに遅すぎる宣伝なんですが、今年のこのラノも例によってライターとして参加しております。最初は「20作くらいで~」といったのになぜか最終的には35作品分の原稿を書きました。自分がライターとして参加して5年目という節目でもあったので、結構がんばりました。お手に取った際はよろしくお願いします!